私は何とかして亀島に近づく。
そこから仲を深めて、仕事を何とか斡旋してもらう。それがバーター出演とかなんだっていいし、SNSで無理やりツーショットを上げさせて、少しでも露出を増やすでもいい。少しでも手がかりをつかませてもらう。踏み台にさせてもらう。
そして、十分に亀島のうま味を存分に抽出させてもらったら、蹴落とす。その俳優との不倫を確実とさせて、週刊誌に売り込むでもよい。週刊誌記者とのつながりはこの夜の世界で確保済みだ。
再び言うが、同じ属性の人間に共存共栄の選択肢はない。それは絶対だ。
私と亀島の共通点はたくさんあるかもしれないが、1番大きな共通点というのは同じ大学で学んでいるということだろう。生活範囲が近いどころか同じということはその分、会える可能性が高い。
インターネットでどれだけ仲を深めたとしてもその友情というのは虚だ。
たった1500年前まで土を盛り上げて墓を作って、その大きさでマウントを取り合っていたような生命体が、何を電脳世界で交流してコミュニケーションだ。おこがましい。文化や技術の発展に人間の脳みそは追いついていないと私はつくづく思う。
やっぱり、直接顔を合わせなければ関係を深めることはできないはずだ。
そう思って、まず亀島のSNSをフォローした。そして、亀島の投稿を逐一確認した。そこでは1日に何枚もの写真が投稿された。読んだ本から食べた夕食まで生活の一部始終が投稿された。
そしてなにより、1番投稿されたのは亀島自身の自撮りだ。
どれだけ自分が心揺さぶられた本を推敲された感想と共に投稿しても、レシピ本を睨んで丹精込めて作った夕食の前にも、ぱっと撮った自撮りに圧倒的にハートがついてしまう。
それはもの悲しささえ感じてしまうが、実際多くの自撮りが投稿されているということは多かれ少なかれ、彼女も承認欲求に虜ということだ。またしても共通点を見つけてしまった。
その自撮りにはたくさんの材料がある。背景には見覚えのある大学の構内が映っていて、写真に添えられた文章には場所を推察できる一文が添えられている。3日もすれば、大学での彼女の行動範囲が大体わかった。
彼女は世界中の人間を善人だと思い込んでいるのかと思えて仕方がない。よっぽどいい人間に囲まれて育ったことがうかがえる。私とは正反対だ。
次回更新は8月16日(日)、16時の予定です。
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