早速、次男に言いました。
「本当に薬学部でいいのか、医者になるのは諦めたのか」と聞き、電話で聞いた話を伝え資料を見せました。

それを見た次男は「予防医学という学校の目的と方向性」、大学の施設も新しく環境もよいことに心が動いたのでしょう。

「母さん、僕この大学を受けたい」と言うのでした。推薦期日が迫っていました。先生に薬学部辞退と、新たにその医科大学への推薦というご無理をお願いしなければなりません。

すると、次男は、自分でキチンと先生に話すからと言い、自分で先生にお願いして、やっと間に合ったのです。これも導かれてとしか思えません。

試験の行われる三日間、母である私は何をしてあげることもできません。私は、心の中で御題目を唱え、「落ち着いて、存分に力を注いでやりきることができますように」と、ひたすら祈ることしかありません。静かに心の中で祈り続けました。

そして、試験が終わった後に、その医科大学の推薦入試の小論文の問題について、次男に聞いてみました。

「このコップを斜めにしたらどうなるか論ぜよ」だったそうです。あなたは「それをどう論じたのか」と聞きますと、「母さん、この問題には斜めにする条件はついていないでしょ。僕は幾通りも書いたんだ」と言うのです。ちょっと変わった子です。後に、これって仏法で説かれる「一水四見」(※注)ということに繫がるのではないかなと不思議に思うのでした。

推薦とはいえ小論文と面接があり、定員の何倍もの応募があったのですから、幸いにも合格できたことは、本当にラッキーでした。

三月には卒業し、九州へ行くことが決まったのです。次男が遠く九州へ行くことになったことが、私が出立することを決心する大きな出来事になったのでした。

全て導かれるように、線路を敷いていただいたように……。感謝いたします!