【前回の記事を読む】『交差点』より詩3篇「あなた達の何倍も生きてきたのに かなわない時がある…ほんとうにわかっているのはあなた達かもしれない」
沈丁花
沈丁花(ちんちょうげ)の ツーンとした薫(かお)りが 漂(ただよ)う
霧の中 見わたせど 目に入らず が
春の囁(ささや)きのように 心がときめいてくる
小学生の頃 作った 手製のポストは
自転車の 軋(きし)む音を 待ち
ポストに入る郵便物の ストン という音に 胸がおどった 日々……
あのポストの横に この沈丁花が咲いていた
はにかむ 幼い私を笑うかのように
この花は 知っていたのだろうか
十年後 二十年後 三十年後の 私の
心の移り変わりを