院長コラム、そして出版の打診

僕は昭和41年(1966年)丙午(ひのえうま)生まれ。和歌山県南部で開業医をしている。

自院のホームページに「院長コラム」と称し、趣味のファッションや車、身の回りで起こった出来事や事件、自身の経験談、経営に対する想いや取り組み、教育論から時事ネタまで、心に移りゆく由なし事を幅広く、見解を踏まえながら17年以上書き続けてきた。

それは、一週間の日記であり、備忘録であり、父から子どもたちへの生前遺言でもあり、時には自分自身を戒めるためのツールでもあった。

ある日、東京の出版社からクリニックにメールが届いた。

〈先生のコラムを拝読しました。つきましては、この内容を本にしませんか?〉との趣旨だった。

「新手の詐欺だろうか? 一体誰が俺の本を読むのだろう?」――。

そもそも出版を目的にコラムを書いてきた訳ではない。

狐につままれたようで、一旦やり過ごし保留にした。

少しブランクがあって、「担当が変わったので、出版の件いかがですか」と出版社から再度の連絡。以前の提案が雲をつかむような話だったため、現実的な具体案を提示するよう求めた。

一週間後に届いた提案は三案、

(一)開業医・勤務医・医学生向けのタイトル「“三流男”の流儀で創る“一流の医療”」、

(三)医師・長嶋雄一の人間物語で幅広い読者向けのタイトル「診療所の窓辺から」、

(二)は(一)と(三)の折衷案でタイトル「心を動かす医療経営」。

それぞれにしっかり章立て案も添付されていた。

院長コラムをしっかり読み込まなければ発案できない内容に心を動かされた。