交流大会からしばらくして、吉岡はP国への出張を命じられた。新入社員ではあったが、英語力を認められたらしい。先輩の車崎のお供のような感じだった。
到着してから、実習生を日本に派遣するE送り出し機関に向かった。ここで日本に呼ぶ実習生を選定する。
理事長からは「元気で素直な奴を採用してこい。日本語や技能はどうでもいい。できれば若い男がいい。少しは女性が混じっていた方がいいだろう」と言われている。
何かかつてOB訪問したJ商事の先輩が言っていたことと似ているような気がしていたが、初めての海外出張ということで緊張感を持って任務に臨んだ。
E送り出し機関ではすでに第1次選考が終わっていて、20人の中から10人を選べということだった。選考方法は集団面接だったが、各人ほとんど言うことは同じだった。
「はーじめましてー。わーたしのなーまえはジャックです。20さいでーす。にーほんにいったら、いっーしょうけんめいはーたらきます。よーろしくおーねがいします」
吉岡には全員同じに見えて、区別がつかなかった。しかし車崎は手際よく、「これとこれとこれと、全部で10名。これで決まり」とあっさりと結論を下した。
吉岡は「選んだ基準は何ですか」と聞いたが、車崎は「いずれお前にもわかるさ」と言うだけだった。
しかし彼等はなぜ難しい日本語を勉強してまで、日本に来たいと思うのだろうか。それだけ日本には魅力があるのか。E送り出し機関の代表に聞いてみた。
「今は日本も経済力が相対的に低下してきており、金銭的には今までのように圧倒的に有利な送り出し先とは言えなくなっているけれども、それでも日本に実習生を送るメリットはなんですか?」
少し間を空けた後、彼は答えた。
「中東やヨーロッパに比べれば、日本はまだ人間扱いしてくれますからね」
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