第三章 伊予 菩薩の道場 山ばかり、でも人が優しい
25日目 2024年10月13日(日)
●気温:26℃ ●天気:晴れ ●予定距離:25km ●参拝目標:40番 観自在寺 ●宿泊予定:きさらぎ旅館
昨夜お世話になった米屋旅館の女将さんとご主人と写真を撮って、7時頃、宿の外まで見送りに出てくれたお2人に手を振って、22km先の40番札所へ。
小さいとはいえ、まずは急勾配な峠越えからだ。四国に入ってからもう無数の峠を歩いているのに、ちっとも慣れない。登りは大嫌いだっつーの! 私はどうにも根本的に〈登り〉が嫌いなようだ。避けられないのだから諦めればいいのに往生際が悪く、悪い意味で頑固だ。朝っぱらゼーゼーと息を切らせて登り続ける。
峠をやっとの思いで越え、ゆるい道に辿り着くと、進行方向から菅笠を被り歩いてくる人を発見! お互い挨拶を交わし、ついでに話をすると、彼は千葉県からきた高柳さんという人。「今年はうるう年だから、逆打ちです!」と笑う。
びっくりしたのが、小ぶりなリュックを担ぎ、荷物がたくさん積まれたカートを引きずっている! 街でおばあちゃんたちが買い物で引きずっているやつだ。
「山登りなんかどうしてるんですか?」と聞くと、「登山を避けて歩くルートもあるから大丈夫だよ!」と言う。さらに驚いたことに、彼は「昨日は1日70kmも歩いたから、今日はもう宿に行こうかと思ってる」と言う!「1日にそんなに歩けるものですか?」と鼻息を荒くして聞いてみると、「おとといは90km歩いた」と言う。
もう脱帽だ。私ごときでは理解不能な領域にいるらしい。どんな歩き方をしたら1日70kmも歩けるんだろう? しかもカートを引きずってだ。私などは1日35kmも歩いたら瀕死だ。
彼は2度目の遍路で、難しいと聞いている逆打ち。間違いなく強者だ。私のような初めて組は素直に順打ちをするが、逆打ちはいろいろ大変だと聞く。なので逆打ち遍路さんたちは、ほとんどがベテランだ。
「私なんか、小さい峠越えでも死にそうなのに、すご過ぎです」と言うと、彼はキョトンとして「国道通れば穏やかなのに……」とあっさり言う。きっと〈こいつは馬鹿なのか?〉と思ったことだろう。
〈馬鹿です! でも、初めての遍路だけにできる限り、遍路道を歩いてみたいんだ!〉それが無茶というものなのかもしれないけれど……。彼に飴をいくつかお裾分けして、健闘を讃え別れた。この彼との出会いには触発された。苦しい峠や山登りの時に思い出す気がする。
次回更新は7月16日(木)、18時の予定です。
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