元クラスメイトが死んだ
あきらめて再び通学路に戻りながら、平井君と最後に話した日のことを思い出していた。
高校二年のころだ。私は唯一の取り柄の勉強をがんばって県内屈指の進学校に進んだ。平井君もその次くらいの高校に進んだのだけれど、高校がちがえば毎日もちがう。彼とは中学卒業以来、すっかりご無沙汰になっていた。
最後といっても会って話したわけじゃない。彼から電話があったのだ。
「武藤照子」という女の子のことだった。
彼女とは中学二年時に同じクラスメイトだった。その後彼女は、平井君と同じ高校に進学していた。
「久しぶり。最近、どないしよん?」
変わらぬ平井君の声だった。彼は初めて会ったときには既に声変わりしていた。
「あのさ、中学二年のときにクラスメイトだった武藤照子って、覚えとる?」
「うん……、もちろん」
私は彼女の顔を久しぶりに思い出した。かなり色白で、栗色の髪はツインテール。変顔で笑わせてくれる明るい性格で、クラスの人気者の一人だった。
「おまえさ、結構仲よくしてなかったっけ?」
「まあね。でも付き合ってたわけじゃないよ。勉強仲間っていうか……」
彼は昔と変わらず、私が最後まで話すのを待たずに重ねてきた。
「あいつさ、昨日死んだんだって。知ってた?」
私は凍り付いた。言葉がなかった。
「ニュースでは住んでた団地が火事で、母親も亡くなったらしいぜ」
「……」
「俺ずっと知らんかったんやけど、母子家庭やって。おまえ知っとった?」
私は当時から知っていた。
「うん、何となく……」
「どうも親子で心中したらしい。かわいそうやけど、団地で家に火をつけるなんてひでえなってみんな言ってる。確かにそうやけど、そんな奴じゃなかったやん。それくらい追い詰められてたのかって思うとなんかね……。おまえに知らせておこうと思って」
私は教えてくれたことに礼を言い、久しぶりにまた会おうと言って電話を切った。
次回更新は7月22日(水)、11時の予定です。
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