④特別受益の計算方法
まず特別受益分を相続財産に加えます。その特別受益分を加えた相続財産の金額から相続人の具体的相続分を計算します。その計算後の特別受益者の相続分から特別受益分を差し引きます。
さきほどの例では、まず、弟が生前に贈与を受けていた金額を相続財産に加算します。相続財産は1000万円なので、贈与を受けていた100万円を加算すると1100万円となります。相続分の前渡しと評価されるものの額を加算したものを「みなし相続財産」といいます。
みなし相続財産を2人で分けると、550万円ずつになります。しかし、弟はすでにそのうち100万円は受け取っていますから、相続発生後に受け取るのは450万円だけという扱いになります。
本事例での遺産分割手続においては、1000万円を兄550万円、弟450万円に分けることになります。
⑤評価
特別受益は、その「額」がいくらであるのか計算しなければなりません。
現金であれば額は明確ですが、それ以外、例えば不動産や株式などの場合は、お金に換算しなければなりません。
特別受益の額の算定基準は、「相続発生時の時価」が原則とされています。
⑥持戻し免除
被相続人から特定の相続人に対し生前贈与等が行われた場合には、特別受益があるわけですが、特別受益分を遺産の中に入れて具体的相続分を計算することを「特別受益の持戻し」といいます。
被相続人は、意思表示によって特別受益者の受益分の持戻しを免除することができます。被相続人が、遺産相続にあたり、特別受益を遺産に持戻す必要がないとの意思を示すことを「持戻し免除の意思表示」といいます。
⑦令和元年7月の民法改正
夫婦の一方が亡くなった場合、持戻し免除の意思があるのが通常なので、改正法は婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住不動産の遺贈又は贈与については持戻しの免除の意思表示があったものと推定することにしました(改正民法第903条4項)。その結果、結婚20年以上の配偶者に対する自宅の生前贈与については、原則として、特別受益の扱いを受けなくなります。