ひろしはいつものようにビルの地下へ行った。徹夜麻雀をして酔っ払っていた。その頃何故か麻雀は結構ツイていて、この日も負ける気がしなかった。このままカンが良ければプロの雀士になれそう……などと思い込むほどだった。
麻雀に一息つくと、おそらくひろしと同じく大学生なのであろうSがニコニコしながら水と氷、スコッチのボトルを持ってくる。かなり贅沢な酒宴だった。
「ところで、Mって日本人じゃないみたいだ。目線が鋭くて、頭が良さそうというか、切れる奴って感じだけど、怖いね」
「いつかアイラ島やキャンベルタウンに行ってみたいな」
とか言いながら、スコッチのラガヴーリンだのラフロイグだのの話を寝こけるまで続けていた。
いつの頃からだっただろう。
地下室の帰りに、Sが茶封筒に入った現金をくれるようになっていた。
ひろしは酔っぱらいながらもその金額の多さに違和感を覚え、そろそろこの地下に通うのはやめようと思っていた。何か得体の知れない援助組織があり、自分もそれに所属させられそうな予感がした。
それはナロードニキのようなコミンテルン……ユダヤ系財閥みたいな、世界的暗闇や影の秘密諜報組織、民族の復活を夢想する組織、あるいは中華思想の大昔から東アジアに広がる華僑か。そんな、地下の秘密組織を想像していた。
ある時は爆弾の製造方法などが書かれた冊子を渡されることもあり、余計に関わるのをよそうと思った。
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