駆け足でその場を去る。偶然とはいえ長澤さんに手を握られて、一瞬背筋に寒気が走った。本能的なところで長澤さんを拒絶しているんだろう。だって、不倫している人だから。
いや、それよりも私を見る、ねっとりとした視線には慣れないし、やはり嫌だ。それに何を考えているか分からない。
直ぐに飲み会をセッティングするし。単に親睦を、という理由ではなく、私の目の前で真由とイチャついたりと、どちらかと言うと二人の関係を見せつけてくる機会と化しているのでそれが参加を渋る理由となっている。一体どういうつもりでああいう行為を見せつけるのか、まるで私に『羨ましい』とでも思わせたいのか、と思う時もある程だ。
でも私的には別に羨ましくも何ともない。だって、私には恋人がいるのだから。
相手は大手の出版社に勤める園田俊雄さんという、真面目を絵に描いたような人。お付き合いも順調で二年目に入っている。最近は結婚の話題も出る程で、真剣に私の事を考えてくれているのが分かる。ちょっと問題というか、障害というか、そのテのものを抱えているけど、彼は何とかなるといつも言ってくれる。
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同僚の真由は勤務先の店長である長澤さんと不倫をしている。だが、彼は私にも手を――
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