壁のサインボードに倣(なら)い奥の方へ進んでいくと、通路の両側がトイレになっており、右側の男子ドアを押して中へ入ろうとした瞬間、勢いよくドアが開いて飛び出してくる男とぶつかりそうになったが咄嗟(とっさ)に避け、先ずは鏡がある手洗いの前に立った――。
鏡に映る頬の疵を見て“ナンパできないのは若(も)しやこれのせいなのか”等と少し弱気になって考えている時、今度は静かにドアが開き誰かが入ってきた。
自身の心の葛藤(かっとう)を覗(のぞ)かれた気がして直ぐ様我に返り横目でチラ見してみると、それが何と先(さっき)の気になる女だった。
上目遣いで軽い笑みを浮かべながら1歩2歩とこっちに近付いてくる。
それにしてもこの女を近くで視(み)ると、未(いま)だ大人未満であるかの成熟しきってない扇情的(せんじょうてき)な目元や、どこか愁(うれ)いを含んだ瞳が無性に悩ましい。また豊かなバストとアダッぽいヒップラインを併せ持つナイスな女だ。
――体にぴったりフィットした淡(うす)紫の艶(なまめ)かしいワンピースを着こなす姿は正春を完全に釘付(くぎづ)けにした。
女は目の前迄来ると改めて視線をぶつけてきた。正春は一瞬にして硬直してくる自分の一物(いちもつ)を感じ取るや、ここで真面(まとも)な思考が停止してしまう。
((やれる・やろう・やっちゃえ!))