【前回記事を読む】50歳から通い始めたスイミング。小柄だから40代に見えたのかもしれない。24歳のライフガードが、私にだけはにかむ笑顔で…

第一章 LG

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しかしある日、私は彼の水底チェックを目撃することになった。

LGの仕事は「CPTW」と区別されていて、放送室のブース(通称「金魚鉢」)の中からプール全体の安全管理を見渡し、定期的にプール利用の注意事項や、スイミングスクールの案内を場内放送するControl(コントロール)、プールサイドで歩いたり立ち止まったりしながら、遊泳者のより近くで見守りをするPatrol(パトロール)、プールサイドの高い脚立の上から見守りをするTower(タワー)、そしてバックオフィスでプールの水質検査をしたり、事務作業をするWait(ウエイト)の四つのロールを三十分ごとに巡回している。

さらに偶数時刻の二時間に一回、五十分~零分の十分間は、遊泳者をすべてプールサイドに引き上げさせて休憩を取らせる、と同時に、この時間にLGの一人が、プールの底や周辺に異物がないか等のチェックをするため、スイミングウエアに着替えてプール全体を潜水しながら泳いで確認する「水底チェック」という重要な仕事がある。

遊泳者の多くは、この「水底チェック」になると、プールから上がってしまうか、ジャグジーにつかるか、採暖室で休息をとるかをするのだが、ジャグジーも採暖室もいっぱいだったその日、私はプールサイドのベンチに座って彼の潜水を見学することになった。

彼の水着姿は美しかった。彼は背中の肩甲骨のあたりに、左右の肩と両腕の下をXで結ぶ太いグレーの帯をブルーラインで際立たせた黒い半袖ラッシュガードを上半身にぴったりとまとい、黒の膝上までのハーフスパッツのスイミングパンツを穿いていた。

小顔からつながる意外と太い首からの肩幅は充分に広く、その下の全く贅肉のない逆三角形の上半身は、肩から腕に筋肉が付く一方、スイマーにしては薄い胸筋のお陰ですっきりと整っていた。それに対して、下半身は普段のショーツ姿では想像できないほど形の良いヒップと、太腿から脛(すね)に至るまでバランスの良い筋肉がつき締まっていた。

標準的な背丈で決して高身長ではないが、上半身の細身の美しい体形と長めの逞しい脚のおかげで、実際よりスラリと長身に見える美しいフォルムだった。

チャコールグレーのスイミングキャップにちょっとレトロな大きめの黒のゴーグルをつけた彼は、入水通路の両側の手すりをつかんで、平行棒でスイングしながら跳ねるようにプールに入っていった。