【前回の記事を読む】「支店長、ちょっと申し訳ないことになりました」。彼が飲み会に来れなくなった理由は、話を聞かずとも明らかだった。
第四章 連続変死事件
十六時頃、梅田のホテルにチェックインした後、小林部長と北浜にある飯野商事を訪問した。飯野商事は三陽銀行がメインバンクの食品に強い中堅商社だ。三隅支社長は鳥飼より十歳年上であるが大変気が合って、仙台時代に酒を飲みに行ったり、共通の趣味であるゴルフをやったりした。
北浜にある飯野商事の大阪支社に着くと、九階の役員応接室に通された。暫くして三隅が入ってきたが、その第一声にはちょっと驚かされた。
「大阪の支店長さんはなかなか挨拶に来ないのに、嬉しいなあ。鳥飼さん、あんたはやっぱり腰が軽くて商売人だわ」
「いやー、お久しぶりです。三隅さんに会いたい一心で参りました」
三隅支社長が手を差し出してきたので、鳥飼は両手で三隅の手を包みながら言った。
「小林さん、鳥飼さんはうまいもんだろう、客をたぶらかすのが」
三人は大笑いした。三隅に着席を促され鳥飼が席に着くと、秘書がお茶を運んできた。三隅がそのお茶を旨そうに一口すすり終わると、心配そうに鳥飼に聞いてきた。
「小林さんから聞いていたけど、三月に倒れたんだって?」
「ご心配をお掛けしましたが、お陰様で元気になりました。少し疲れていたんですね。一週間入院させてもらって、倒れる前より元気になりました」
「そう言えば若くなったような気がするなあ」
「社内でもカッコよくなったと評判なんですわ。若い女の子が騒いでますねん」
「小林君、馬鹿なことを言うもんじゃないよ。俺たちは銀行マンなんだから」
「いや、仕事ができるやつは皆女にモテるよ」