【前回の記事を読む】夫は3歳の娘を残し海で死んだ――見初められて来日した彼女が築き上げた年商3億、その裏で支えてくれた男たちとは

第一章 新しい仕事

秋山良子は「チャーガ茶」の担当である。チャーガとは別名カバノアナタケと呼ばれ、主に白樺の木に寄生するキノコである。白樺の木の二万本に一本しか寄生しないほど非常に数が少なく、希少価値が高い。健康と美容に良いとされる。抗がん効果があると言われる。

チャーガはバイカル湖周辺の白樺の木から多く産出される。会社の名前のバイカル・ビジネス・カンパニー(BBC)はこの産地名からきている。このチャーガのブロックや粉末バッグを沸騰させたお湯に入れて煮出して飲む。百グラムで二千円位の販売価格になる。

秋山社員はインターネットでオンラインショップのメンテナンスを受け持っている。ショップを開設して、商品紹介、注文受け取り、物品の包装と発送、並びに代金の入金管理を行っている。通常月は、オンラインショップの対応だが、年に一回、ロシアからチャーガ原料の仕入れをする必要がある。

この輸入手続きは面倒である。ロシアの仕入れ先と輸入量、輸入価格を交渉する。この輸入量と価格の交渉はロシア人の社長しかできない。社長は価格交渉が得意である。当然、ロシア語が使われる。輸入関連書類はロシア語で、梱包品目、数量、重量が含まれる。

現地出荷日、輸出港の出港日と船名、横浜港着日などをEメールで入手する。輸入申請書を日本の税関に提出して、通関後に陸送会社に横浜港から川崎の保管倉庫まで運んでもらう。これらの手続きは難易度の高い仕事である。赤沢主任や男性社員にも支援をしてもらう。ロシアからの仕入れ業務が完了した時には、自分を褒めてあげたい。好きなご馳走を食べることにしている。

国内のオンラインショップは固定客が定期的に購入してくれる。勿論、新規の注文も二日に一度は入ってくる。担当者としては注文が入り、商品の発送が済んだ日は達成感を覚える。

秋山社員は専門学校を卒業後、コンピューター部品製造会社の事務職をやっていた。しかし、男性社員の補助業務が多く、仕事の達成感をあまり感じなかった。BBCに転職してからは、自分に任せてもらえる仕事があり、達成感をより感じている。