社会で起こる理不尽な出来事、仕事での悩みや葛藤――生きる上で湧き上がる無数の想いは、“世の中”という名の大きな流れに飲み込まれていく。
慌ただしい日常で流されがちな自分を見つめ直すひと時をくれる、珠玉の短編集。
鮎釣りに来た吉富は、川のほとりに遺棄された赤ちゃんを発見する。病気で亡くした子どもの生まれ変わりではないかと考える吉富は、妻と相談してある行動に出る。一方、居眠り運転により母親を轢殺し、赤ちゃんを遺棄した犯人は吉富もよく知る身近な人物だった――。身寄りのない赤ちゃん、子どもをあきらめきれない吉富、そして、母子の運命を大きく変えてしまった犯人。数奇な縁で交錯していく三人の人生の流れ着く先とは?
「鮎川のほとり」