そういう子ども二〇名に実験への協力を求め、他方、学校や日常の生活に何の支障もない子どもを二四名、無作為に選んで双方で「ウォーリーをさがせ」実験を行って結果をまとめてみたところ、図1-2のようなグラフが得られたのだった。
まず、ふつうの子どもから読み取れるのは、怒り顔を見つける方が笑い顔を見つけるより、要する時間が短いという事実であろう。後者を探し出すのには、一・一秒以上の時間を必要とするのに対し、前者ではおおむね一・〇秒程度しかかかっていないのだ。
他方、コミュ障の子どもについて見ると、笑い顔を見つけ出すのにかかる時間は、ふつうの子どもが要するのと大差ないことがわかる。ところが怒り顔を見つけるのにも、笑い顔の場合と同じくらいの時間を要している。
結果として、怒り顔を探し出すスピードは、ふつうの子どもの方がコミュ障の子どもよりも速いということになる。一方、笑い顔に関しては、二グループにそれほど差がない。つまりコミュ障の子どもは怒り顔の検出だけが不得手ということなのである。
〇・一~〇・二秒の違いの意味
たった〇・一~〇・二秒の差ではないか、という印象を持たれるかもしれない。しかし、この差は測定の誤差や偶然の産物ではなく、しかも、一般に想像される以上に、大きな意味を持ったものなのだ。
まず偶然にもたらされた数値のズレでないことを指摘しておこう。
明らかに、ふつうの子どもでは怒り顔を見つけ出す速度の方が、笑い顔を見つけ出すのよりも勝っている。
これは統計学的に有意な差なのである。確率論的に計算してみると、ふつうの子どもが怒り顔と笑い顔を、まったく同じ難易度で見つけ出すことができるにもかかわらず、こういう実験結果がもたらされる確率は一万分の一程度であることが、わかる。
つまり、一万回同じ実験を行ってみて、そのうち九九九九回は子どもが、怒り顔を笑い顔より、より速く探し出すことによって、このような結果はもたらされるのである。
次回更新は6月23日(火)、7時の予定です。
【イチオシ記事】彼には彼女がいるのに…抱き寄せられた。キスは首筋から胸の膨らみへと移り、甘ったるい声が漏れて…
【注目記事】マッチングアプリで出会った男性と初めてのデート。食事が終わったタイミングで「じゃあ行こうか。部屋を取ってある」と言われ…
ゴールドライフオンラインは、表現者を応援するウェブメディアです。
生身の人間が紡ぐリアルな言葉だからこそ、読者の心を揺さぶる力があると確信しています。
あなたも、"表現者"になってみませんか?
ゴールドライフオンライン編集部:glo_henshu@gentosha.co.jp
