夫が首の骨を折った時もなんで私ばっかり苦労しなきゃならないの、と毎日思った。ついつい思うのは起きた真実の否認と現実の拒否と相手への憎しみ。そして世の中の不平等に対する怒り。そればっかりががっかりで、ぐるっと一周して帰ってきたら、私ばっかりじゃなかったことにいずれ気づくから。
どんなに自分の気持ちを相手と同じにしようとしてもきっと死ぬまで同じにはならないし、自分ばっかり劣等感を抱かなくてもいい。損はしていない。私ばかりではなく、さらに考察するならば、私だから訪れた現実。私だから乗り越えられる事実であるかもわからない。
自分が招いたか相手が招いたかは別としても訪れた現実を恨まず、訪れた現実の考察は不運、下向きに考えても、一旦私に訪れた不運に感じる現実を一歩踏み外せば谷底ぎりぎりの絶景スポットとしよう。いつかそのぎりぎり崖から落ちなかったハラハラした日こそが全力だったと思い返す。崖から実は落ちていたとしても助かったなら奇跡である。崖の上か下かもわからぬほど必死に向き合っていた日々。
あなたにとっても大変だったなぁと言えるほど全力を傾けた受験だったかもしれない。大変だった仕事の下積み時代だったかもしれない。
私にとっては砕かれてもとには戻らない心のかけらを必死にかき集め、子どもたちにも拾ってもらいながらどうにかいびつでも、もとに近い形の心で歩んでる感覚だ。もう同じ形にはならないし、ならなくてもいい。私だけが経験できた大切な大切な苦の時間が心を砕き、みんなで新しい心の形にできたんだと幸せだ。
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