【前回の記事を読む】老人ホームでの恋は「いい歳してみっともない」!? ある日ホームの階段で手を握り合っている高齢カップルがいて…

第Ⅰ部

第2章 元気な入居者の暮らしぶり

6 ホームでの人付き合い

偶然の悪戯

Hさんのところに小学生のときからの友人より電話がかかってきたそうです。「ホームに明石さんていう人はいる?」「夫が年賀状の宛名書きをしているときに見つけたの。あなたのいるホームにいる人宛てのがあったのよ。私たち夫婦は職場結婚でしょ。だから私も知っている人なんだけど」「明石さんはホームにいるわよね!」と聞いてきたとのことです。

Hさんと夫は運営委員会で知り合っています。「そういうことなの。明石さんはいるわよ」とHさんは答えたというのです。

このハプニングは、Hさんの友人がたまたま夫と同じ会社に勤めていたことと、Hさんと夫がたまたま知り合いであったことから起こったことでした。「偶然の悪戯」としか説明のしようがありません。

「偶然の悪戯」はドラマでよく使われる手法ですが、実人生でも、人の手の及ばない、神の見えざる手で人生は操られていると感じることがあります。私は、互いが知らなかっただけで、実際は、4か所も同じ場所にいたという人と職場で奇跡的に出会い、上司と部下の関係になりましたよ。

その出会いがそれぞれの人生の中での選択の結果であるとしても、これは「偶然の悪戯の極致」と言いたくなるほど、摩訶不思議なことでした。

入居者の中に私の旧姓と同じ姓の男性がいます。その姓は私が生まれた大分県では多い姓ですが、首都圏では滅多に聞くことはありません。私は、その人と遠い親戚だったりすることもあるかもと、勝手に想像を巡らせることがあります。かと言って、その人を訪ねていく勇気はありませんので、謎のまま終わりそうです。

7 マンション型のホームに住むこと

居室は冬でも暖かい

詳しくは後述しますが、私たちが老人ホームに入ることになった理由の1つは、これまでの住まいが築40年もたち、老朽化してきたことでした。この老人ホームに入って、以前の木造の住宅に比べ、鉄筋コンクリート造りのマンション型の住宅の優れた点をいくつか見つけました。

まず、気密性が高く、外気が入ってこないので、冬でもとても暖かく過ごせることです。秋冬期の室温は20度はあり、暖房を点けることが殆どありません。寝るときの着布団も、夏季はガーゼ肌掛け布団1枚ですが、それ以外のシーズンは肌掛け布団に毛布を追加します。