内田部長の左隣に座っている業務部長の大河原が「私の番ですよね」と断り、

ボソッとした語り口で「私は、産業機材事業部にお世話になったのは5年ほど前からで、以前は事務機器事業部のやはり業務部門に長くいました。

取り立てて自分を紹介するほどの事もないのですが、私は英語のしゃべりが得意でないので前任のスミスさんから長谷川部長に代わっただけで内心ほっとしています。

ただ私は、曲がったことが嫌いで周囲からは融通が利かない頑固者として少し距離を置かれています。これでいいですか」と言い、長谷川の方に視線を送った。

自らの頑固者発言には出席者一同から笑いを誘った。

「大河原さん、ありがとうございます。事業部内の会話はもちろん日本語ですが、月次報告書はこれまで通り英文でまとめてください。

多少の間違いは大目に見ますので練習と思い出来るだけ情報をたくさん織り込んでください」

「それでは篠原さんお願いします」

「産業機器部の篠原です。私は入社以来、文系の人間ですが機械部門一筋でやってきました。取り扱っている製品は種類も多く、カバーしている業界も多岐にわたっています。

悩みと言えば柱になる商材が無いことです。すべての扱い製品が小粒であり、一人の担当者が多品目を扱うというありさまで、早期にしっかりした大黒柱を育てることが急務となっています。

メリットと言えば多種少量品種のために経済の好不況の波に影響されにくい点です。隣の前澤部長の食品機器部のように安定した大型製品を発掘したいと思っています」

篠原は、左隣の前澤の方向に頭を振りにっこりと会釈した。