その八 出会い・気づき
⑤ 母は死んでしまう!
以上は、数々繰り広げられた出来事の中で、目に留まるものだけを拾い出したものです。
身体的暴力、そして言葉の暴力により己の心を失っていった母を見て、子供ながらに「母は死んでしまう」と感じ取って育った長男です。私が、お酒の問題から回復するための自助グループに参加し始めた頃、自助グループを支援してくださっているT医師のところに、一緒に相談に出向いた時でした。
先生の前で「母はよく生きていたと思います」と、長男に言わしめた真実の事実の数々です。息子も当然心に傷をおっていたと思います。
酒を飲むと暴力的な行動になるので、子供たちも恐れていました。男の子ですから、父親に手を出さないかと母親の私としては、心配していました。
しかし、暴力をふるうことについて、息子たちに、「私がたとえ父さんから暴力をふるわれても、あなたたちにとっては父親です。お父さんが悪いのではありません。お酒がさせているのだから、決して手を上げたり反抗したりしてはいけない」と、強く制していました。