私には言い返す気力も、考える力も、言い訳する思考力も、どこにもなかった。
幸い、命に別状を来すような薬ではなかったらしく、お医者さんも「良かった」と言って下さり、身体から薬を抜くために一晩点滴が必要なため、一泊入院することになった。
もう一日入院を勧められたが、退院を希望し、一泊で退院し、新婚旅行までは自宅療養をすることになった。
そして数日後、私達は結婚するため、ハワイに旅立った。
そのまま結婚することが正解かどうか、その時の私にはわからなかったが、結婚をやめるという勇気は私にはなかった。
ハワイは別世界のようで、現実を忘れるほど楽しかったが、到着した日の午後、結婚式の衣装合わせがあった。
一生に一度しか着ないウエディングドレス。
ドキドキワクワクしながら見に行った。
ドレス置き場に行くと、夢のように見渡す限りドレスがあり、どこからどう選べばいいのか全くわからなかったので、店員さんに「どうやって選ぶのですか?」と聞いてみた。
すると「まずは半袖、長袖、マーメード、まずはこの3種類のどの形にするかを決めて下さいね」と3種類のドレスを見せながら説明してくれた。
私は「半袖がいい」と言った。
すると店員さんが半袖のコーナーに案内しようとしたが、彼が「それでいいやろ」と言った。
「は?」
意味がわからなかった。
「それでいいやろ、他は見なくていいやろ」と言う。
店員さんが持ってきた3種類の内のサンプルの半袖のドレスをそのまま着ろと言っているのだ。
「嫌だ、沢山あるから選びたい」と言ったが「なんで選ぶ必要があるんだ」と彼が怒り出したため、喧嘩になる前に私が引いた。
私は一生に一度しか着ないウエディングドレスすら、選ぶことができなかった。
こんな花嫁って他にいるのかなと思うと、たまらなく惨めで仕方がなかった。
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身体中、痣だらけのまま着たウエディングドレス。DV夫が腕につけた痕は、結婚式の写真にもはっきり写っていた。
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