「今からPMC行くけど来る?」

「ピーエムシー?」涼介が小首を傾げる。

隆弘は説明する。

「高校生向けのマーケティングリサーチ会社って感じ。センター街の奥にあるんだよね。アンケートとか映画の感想書いたり、ライブのサクラとか、バイト的な仕事を紹介してくれるとこ。フリースペースがあるから高校生の溜まり場みたいになってる。

PMCは芸能事務所もやっててアンナさんはそこの所属なんだ。ってかそもそも俺もそこでアンナさんに出会ったし。ってか麻里奈ともそこで出会った気がする」

隆弘は背筋を伸ばす。もしかしたら友美がこうしたイベントか、PMC経由の仕事で忙しいだけかもしれない。無理やり悪い想像を膨らませる必要はないか、と自分に言い聞かせる。

「ま、気が向いたら連絡してよ」とアンナが明るい笑顔を見せた。それきり、アンナと麻里奈、そしてギャル集団は緩やかにその場を離れていく。夜の渋谷がまた人影を呑み込んでいくようだった。

雪は静かに降り続け、EXILEのメロディが遠くで霞んでいる。

光に満ちた街は華やかだが、隆弘はただ、友美に繋がる糸を求めている。

涼介は黙って隆弘の様子を見守る。二人は昔から、暗黙の信頼で繋がっている。

アンナも麻里奈も、今はただ明るく楽しげな存在でしかない。ここでは誰も裏の顔など覗かせない。すべてが健全な夜の繁華街そのもの。

しかし、その夜、友美の行方は依然としてわからなかった。

隆弘はその喪失感を胸に抱き、涼介とともに渋谷の雑踏を進む。

凍て付く空気の中、まだ誰も未来を予感できない。ただ甘い匂いのする青春という概念が、人々をこの街に集め、そしてどこへともなく消えていく。