第2章 日本人の死因ナンバーワン がんの正体とその対策
世の中には、がんに関する教科書や解説書は数多く存在しますが、実はがんにはまだまだ解明されていない謎がたくさんあります。
本書では、著者が専門とする病理学や分子生物学の視点から、がんについて、その原因や性質、治療法などをざっくりと見ていきます。また、臨床医の目から見た、がん治療の考え方とその最前線を見ていきたいと思います。
がんは、前章の腎臓病とは明らかに異なる病気ですが、類似点があることも理解してもらえたらと思います。
がんは細胞の病気である
がんは、日本人の死因の第1位であり、全体の24・3%を占めています。
男性、女性ともに、おおよそ2人に1人が一生のうちにがんと診断され、男性では約4人に1人、女性では約6人に1人ががんで死亡します(1)。
70歳以上に限ると、約半数の人ががんにかかり、そのうちの半分ががんで亡くなる計算になります。がん細胞は、正常な細胞が変異し、異常に増殖するようになったものです。
がん細胞の特徴として、以下の点が挙げられます。
①自己増殖
がん細胞は、外部の影響を受けることなく、自ら増殖を続ける能力を持っています。
これは、細胞が必要とされていない状況でも無意味に細胞分裂を続けるということです。
②浸潤と転移
がん細胞は周囲の正常な組織に侵入し、破壊する能力を持っています。また、血液やリンパ液を介して体の他の部位に転移することができます。
③細胞死の回避
正常な細胞は、損傷を受けると自ら死を選ぶようにプログラムされています(プログラム細胞死:アポトーシス)。
がん細胞はこのメカニズムを回避する能力を持っているので、死ににくいのです。
(1)がん情報サービス. 最新がん統計 国立研究開発法人国立がん研究センター2024 [Available from: https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html.
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