第六章
当たって砕けろという明里さんの言葉は、まったく冗談ではなく、いつ地元に戻るのかと何度も催促の連絡が来た。
遥香のことは大事だし、すぐにでも行きたいところだが、僕にも大学の授業やアルバイトがある。すぐに駆け出したいところだが、周りの迷惑も考えると、すぐに動き出せないでいる。
明里さんにそれを伝えると、先に決行の日を決めろと言うので、僕はそれを来週の水曜日に設定した。
明里さんに伝えると、よく決めた!と、やたら褒められた。
僕にとって遥香に会いに行くという行為は、この先も続く僕の人生の中でも、きっと大きな出来事で、鮮明に記憶に残るだろう。それなのに、彼女は緊張感がないようで、楽しんでいるようにも見える。
僕がドキドキと緊張しているからこそ、友達として、あえてそうしてくれているのだろうか。
それとも、それは僕の考えすぎだろうか。
今からなにかできるかと思考錯誤するも、名案は思いつかない。
「当たって砕けろ」
明里さんの発言は、やはり一理あるのかもしれない。
僕が遥香の家を訪ねた日、玄関にかけた最中に、僕は遥香に対する想いと連絡先を書いた手紙を忍ばせた。しかし、あれからなんの音沙汰もないところを考えると、やはり正攻法しかないのかもしれない。
遥香は手紙を読んでくれたのだろうか。彼女が見る前に、母親がすべて処分したのかもしれない。もしそうだったら、また行っても遥香には会えないかもしれない。
でも、もし遥香が手紙を読んだうえで、あえて無視を決め込んでいるのだとしたら、それはそれで悲しい。そう思うと、僕の行動の結末は、高確率で残念な結果を招くのではないだろうか。
それが諦める理由にはならないから、遥香の家を突撃する未来は変わらないのだが、そうならないことを願う。
遥香の家をどう訪ねるのか、名案は思いつかないうえに、生産性のない思考と願望を頭に巡らせていると、あっという間にその日はやってきた。
次回更新は6月2日(火)、11時の予定です。
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