4.権五郎景正ゆかりの地を訪ねる

~御霊(ごりょう)神社~

江ノ電極楽寺駅を降りて左に進んで極楽寺坂を上って下ると左の角に地元の人々に愛される古い和菓子店「力餅家」がある。

ここの「力餅」は上品な甘さのあんこと柔らかい餅の絡みが絶品かつ飽きない味なので、時に私もたまらなく食べたくなる。ただし、日持ちがしないので遠方からお越しの方は、その日のうちに鎌倉で食べて帰っていただきたい。勿論、日持ちする菓子類も揃っているのでお土産を買って持って帰ることもできる。

店の角を左折して細い路地を歩いて江ノ電の踏切を渡って鳥居をくぐると御霊神社にたどり着く。御霊神社はまたの名を権五郎神社といい鎌倉権五郎景正を祀る神社だ。

御霊神社として全国的に有名なのは京都上京区の御霊神社である。

こちらは桓武天皇の弟の早良(さわら)親王(しんのう)を祀っている。早良親王は、政争に巻き込まれて淡路島に移送される途中で恨みをのんで食を絶ち餓死した。

その後、朝廷や公家に様々な厄災が起きたので、これを早良親王の祟りだと恐れた朝廷は、崇道(すとう)天皇(てんのう)という号を追贈したりもしているが、それのみならず神社も建てて慰霊したのがこの京都の御霊神社だ。

御霊神社という神社はこのように生前高位にありながら恨みをのんで死んだ方の祟りを恐れ、霊を鎮めるために建立された神社に名付けられることが多いが、こちらの方は「恨み」や「祟り」とは一切無縁である。

子孫や領民の景正公への一途な敬愛から生まれた神社だけに清々しさがある。また、神話に出てくる実際には見たこともない神様を崇めたものではなく、鎌倉権五郎景正という地元に実在した人物を崇めているだけに、人間臭さとこの地に暮らした人々の温かい気持ちが伝わってくる。

しかし、考えてみると鎌倉権五郎景正は平良文の曾孫で桓武平氏の末裔である。桓武天皇の弟で、京都の御霊神社に祀られている早良親王とは遠い親戚だというのも面白い。

 

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