三月十五日(土)

朝、ケージの扉を開けても出て来なくなった。トイレの清掃があるので、抱えて出てもらった。昨日、購入したサイリウム入りの食事を出してみたが、全く口をつけようとしない。サイリウムは腸内環境を整え、下痢にも便秘にも効果があるそうだが、食べなければ意味はない。

食べもしないのを安易に勧めるなと女医に腹を立てたが、すぐに冷静になる。医者だって相談されても困るのだ。整腸剤が効かず、下痢をどうしましょうと訊かれたら、何かを提案してみるしかないのだ。そこは人間の医者も獣医も同じだと思う。「施すに処置なし」の状態でも何かを処置するしかない。それが医者という人種の宿命なのだ。

おしっこに肉眼的な血液は見られなかった。嘔吐はあったが、活動性は改善している。占い師に言われた「猫さんはあなたの事を凄く心配しています」の言葉が頭に浮かんで、涙が滲んでくる。無理に元気そうに振舞っているのではないか? ここのところ栄養不足だし、下痢と嘔吐も止まっていないのに動いているのだ。

しかし、元気なのは少しの間だけで、その後はずっと家の納戸に引き籠っていた。

夕方、点滴のためかかりつけ医を受診する。この日の担当は院長だった。食欲増進剤のミルタザピンが無くなりかけていたので、処方をお願いしたが断られた。あれは国内生産されておらず輸入薬で、かかりつけ医では取り扱っていないという。もし輸入しても保険は使えないとも言われた。

代わりにカプロモレリンという別の食欲増進剤を勧められた。副作用は流涎以外に目立ったものはないという。食事の三十分前に与えて下さいと言う。一日にこまめに何度も食事をするのに毎回三十分前なのか? それは無理ですと断った。

しかし、後にネットで調べると、一日一回の投与らしい。つまり、一日の最初の食事の三十分前だ。院長の説明不足だと苛立った。最近、小さなミスコミュニケーションで怒りをおぼえてしまう。すぐに抑えられるのでトラブルには至らないものの気をつけないと。この日は飲み切った整腸剤だけを処方してもらった。

夜、久々に窓に登っていた。まだ元気だ。死ぬ前に一時的に元気になるという噂のエンゼルタイムかもしれないが。

この日の栄養はおやつとちゅーるで120キロカロリーだった。排便はなかった。水分は飲水310mlに点滴120mlの合計430ml。排尿が一日四回ある事を考えると、脱水はなさそうだ。体重は増えて4・78kg。これも水の影響か?

次回更新は5月24 日(日)、11時の予定です。

 

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