活性酸素とガン細胞
中村:だから、抗酸化物質(食べ物やサプリメントなど)を摂取するようにと言われるんですね。
溝口:その通りです。活性酸素(危険な暴走車)による酸化(交通事故)によって、被害を受けるのがタンパク質や脂質、遺伝子です。
ドライバーがそれぞれの分子構造を活性酸素(危険な暴走車)というものを使って無謀運転することによって本来の機能をめちゃくちゃにするんですね。それぞれの物質の原子や分子構造を変質させてしまうのですから、老化やガン、病気が引き起こされるのも頷けるはずです。酸素原子、活性酸素によって電子を奪われると、細胞は正しい形として成り立ちません。
中村:なるほど。
溝口:また、正しい細胞はDNAという司令官により同じものをコピーされ、一つの細胞が分裂し、その後増殖を続けます。ずっと分裂し続けるのではなく、ある回数に達したら、分裂して増殖することをやめてしまいます。それが普通であり、正常です。その回数は染色体にあるテロメア(※注)の長さで決まります。
※注
テロメアとは染色体末端にある構造で、染色体同士が末端を介してくっつき合うのを防ぐ重要な役割を果たしている。染色体の末端をテロメアと名付けた(ギリシャ語のend partに由来する)
(「細胞のがん化・老化にかかわるテロメアとは?」中山潤一(独)理化学研究所発生・再生科学総合研究センター)