トカゲの尻尾は1回切れてもまた伸びてきますよね? テロメアという物質は切れて無くなったらもう伸びないトカゲの尻尾だと考えてください。
テロメアは1回の分裂により、どんどん切られていき、最後には無くなります。そこで細胞は分裂することをやめます。その逆がガン細胞です。
本来、切って無くなるはずのトカゲの尻尾(テロメア)が、切っても切ってもどんどん伸びて増えていきます。なぜそのようになるかというと、テロメアを作る酵素がどんどん作動するからです。普通の細胞はその酵素を作動させないようにコントロールスイッチがOFFになっているので、ある回数(約50回〜60回)までいくと分裂するのをやめてくれるようになっています。
しかし、ガン細胞の場合はそのスイッチがさっきお話しした活性酸素によって壊されてしまいます。ここでも活性酸素が悪さをします。
活性酸素がスイッチを壊したことによって、テロメアを作る酵素がどんどん作動し、分裂と増殖をやめてくれません。こうやって細胞が異常に増殖し、変異を続けていくことで性質が変わり、形を変えてガン細胞が出来上がっていくのです。
中村:ここでも活性酸素が悪さをするんですね。
溝口:そうなんです。最近では活性酸素がガンや老化だけではなく、いろんなことで悪さを働くということがわかってきました。