8日目 小さな現代版道しるべ(3月20日)
山岳地帯を越えると紀伊水道(大平洋)が見えてきます。徳島県(阿波の国)最後の23番札所薬王寺(やくおうじ)1霊場を巡拝し、「発心の道場」(23霊場)の巡拝を終えます。
宿から9キロ過ぎの由岐坂峠(120m)にさしかかると、徳島県と和歌山県を隔てる紀伊水道(太平洋)が見えてきます。海の色は透き通るような真っ青です。これまでの行程は、木々の緑や土や岩そして落ち葉の茶褐色に包まれた山中のお遍路です。
深い青とわずかに湾曲した水平線を見ると、「海は広いな大きいな」(『海』作詞 林柳波、作曲 井上武士、文部省唱歌)と、ついくちずさみたくなります。
ウミガメが上陸する大浜海岸
薬王寺にほどちかい美波町大浜海岸は、1967(昭和42)年「大浜海岸のウミガメおよび産卵地」として国指定の天然記念物です。ウミガメの上陸は、以前は延べ100回以上も確認されていましたが、1990(平成2)年代から激減し、2015(平成27)年は15回、2020(令和2)年はわずか3回の上陸しか確認されていないそうです。こうした現実と海の青さが重なりません。
うみがめが来る町
23番札所医王山無量寿院薬王寺は、日和佐湾を見下ろす小高い場所にあります。真言宗の経典(瑜祇(ゆぎ)経)の教理を形にあらわした、高さ29mの朱色に塗られた瑜祇塔が、緑に茂る山を背により一層映えます。
石段の下には、小石に「薬師瑠璃光如来本願功徳経」通称は「薬師経」を一文字書いて埋めてあり、石段を上がるだけで読誦(どくじゅ:声を出してお経を読むこと)と同じご利益があるそうです。