【前回記事を読む】家族にコロナ感染者が出たら、一家で引っ越しせざるを得ないケースも出たあの2020年頃…開催された「コロナ・コンテスト」とは?

十二章 コロナ・コンテストと主婦の翼とスフマート

三〇メートル以上のクラスの選手たちが飛ばす様子を見ると、あっけにとられる。

ヘラクレスのような男性が翼幅一メートルもある機体の片側翼端を持ち、全身を回転させながら遠心力を使って、天井に向かって力一杯投げ上げる。

すると人の手から離れた飛行機は、まるで龍のように、天井めがけて一気に上昇、天井ギリギリまでの高さに到達すると、素早く水平姿勢に変わり、大きな螺旋を描きながら、ゆったり滑空しながら降りてくる。この力強い回転投げは、コロナ・コンテストにはまったく通用しない。

リビングルームの天井は、高くても三メートル、大胆な発想の設計が必要だ。ベンズは、コロナ・コンテスト参加者のために、自分で設計した機体の図面を公開した。ベンズの機体は、華奢な枠にフィルムを貼り、主翼と尾翼を細い胴体でつないだ。参加者のほとんどは、ベンズの機体をアレンジした。だが、石井は独創的な機体を開発した。

石井のコロナ・コンテストの機体は、尾翼も胴体もない。あるのは半月状の主翼と、その主翼の前に、紙縒りのような細長い重りがあるだけだ。主翼と重りの材料は薄いスチレンペーパーで、機体の重量は〇・一五グラムだ。二・四メートルの天井高から飛ばして、滞空時間は十六・一秒、コロナ・コンテストで好成績を出した。

ところで、私もオリジナルの機体を作ってコロナ・コンテストに投稿し、石井や他の投稿者を驚かせた。私はタイムのことは気にしないで、身近なもので、子供たちと一緒に作れる飛行機にしたいと思い、台所用アルミホイルに目を付けた。