【前回の記事を読む】「お嬢様、お客様です」応接間で待っていたのは、スーツ姿の男だった。困惑する私を置き去りにして、彼は本題を切り出した
夢子
「では、そなたの命も次の誕生日で終わりということでいいのですね。それでも構わないと?」
宮比羅が脅しをかけてきた。
「お嬢様、意地をお張りにならないでこの方の言うことを聞いてください」
いねが懇願した。
強気の薫子も死ぬと言われて、それには流石に動揺した。
「その閻魔様に頼んでよ。私が仕事を辞めたいって」
薫子が言うと、
「それは無理です。閻魔大王は冥界の絶対王で鬼どもが平伏すようなお方です。私の言うことなど取り合って貰えませんよ」
宮比羅は何とも情けない返答をした。
「そんなに横暴な神様なの?」
薫子が訊き返すと、
「横暴ということではなく、畏れ多いというか、位に差がありすぎるというか。私には到底、無理なご相談です。自分でお願いしてみたら分かりますよ。怖さが」
と、宮比羅が顔の前で手を横に振りながら答えた。
「どこに行けば会えるの? その閻魔大王に」
「それは自分で調べてください。私は教えることはできません。それが冥界の決まりですから。最後に言っておきます。そなたが仕事をしないのなら次の誕生日が最終リミットですよ。いいですね」
と、話すと宮比羅は煙のように消えてなくなってしまった。
「お嬢様、申し訳ございませんでした。こんなことになって。私はお嬢様が好きなようになさればいいと思います。そうすれば私の役目も終わりになりますから」
いねの言葉に、
「私が死ねば、ばあやも死ぬのね」
薫子はそう言うとキッチンに行き、冷蔵庫を開けて缶ビールを開け一気に喉に流し込んだ。
「よし、あと三か月か。戦闘開始してやる。おのれ、閻魔め、待っていろ!」
薫はそう叫んでいねの作った夕食に食らいついた。