だが「赤ちゃん」になるなどと言うのは可愛いもので、海外では「エプスタイン事件」などと言う不気味な人間の本性を赤裸々に表した地球上の最高権力者による事件すら起きている。
私は無論、人間性悪説に立って、すべてを説明しきれる程人間は単純ではないと思っているが、ここでは話がややこしくなるので、取り敢えず、このコンテクストで押し通すことをお許しいただきたい。
権力者でない我々の多くが、赤ちゃんになるなど思いもよらず、一見、サザエさん的家庭生活、人間関係を維持できるためには、どれだけの教育的訓練、社会の成立と同時に、必ず付随する、法律等の強制力がどれだけ必要だろうか。
しかし我々がサザエさんやマスオさんを演ずるのは、結構大変な日常的演技がともなうのであることは、例えば、どこの会社にでもいるモラハラの権化の部長とかお局さんという小権力者を見ただけでも明瞭だろう。
あれは、彼、或いは彼女があるポストに就いたから変わったわけではなく、もう部下から刺されても危険のない位置に辿り着いた(と思った)ので、サザエキャラ、マスオキャラを捨てて、思いのままに自分の本性を出し始めたからである。
以下、同様に、皆さんも酒が入ると、車に乘ると、マージャンをすると、人が変わるという人に一度や二度は会ったことがあるだろう。
しかし、これを、酒、車、マージャンの所為にすべきでない。というのも彼らは変わったのではなく、たいていの人は、彼らの変化を、車やマージャンや酒の所為と許容してくれる日本社会の慣習を、意識的にせよ無意識的にせよ、ちゃっかり承知しているから、安心して「自分」を出せるからなのである。
だから逆に、その人の本性を知りたければ、仕事場のような「公式の場」における彼らの姿を一旦忘れ、酒を飲んでいる時、何かの遊びをしている時、車に乘っている時の、彼らの姿に注意すべきだろう。
次回更新は5月18日(月)、11時の予定です。