【前回の記事を読む】30歳を過ぎてから本格的に司法試験の勉強を始めた…合格後、驚くべきことに同期の中で理系出身は私だけだった。
第1章 筆者の経歴
5 司法試験に合格し司法研修所を経て弁護士・弁理士へ
(3)技術論の形成
また、本書で述べる技術論は、いわば「開発に向けて」の技術論である。それは、画期的な発明の生まれる素地、物体系と物質系による技術の発展(第9章)に表れている。補言すると、技術が生まれ、特許として社会に利用されるについて、次のような段階が考えられよう。
a.技術開発→b.技術から発明の形成→c.発明から特許の取得→d.特許の利用
このうち、a、dは極めて多くの人が携っており、また著作・論文も多い。
次にcである。bは少なくなる(訴訟においては、発明者の認定等として表われる)。筆者の技術論は、もとより、a→dを通じたものであるが、特にbに着目しているといえる。その意味で隙間的ともいえる。しかし、bはc、dの基礎となり、aの目標ともなって、極めて重要である。
また、技術のうち、秘匿しておきたいものは、ノウハウとされるが、ノウハウについては、前記のうち、a、b及びノウハウの利用が関与することになる。
②筆者は、技術を考えるについて、常に発明(一般に優れた技術)のし方を合わせて考えてきたが、発明を得るきっかけの一つとして、人間の感覚では分かり難いが自然現象の利用としては有用な技術があげられる。
具体的には例えば、気体・液体の負圧(吸引される圧力。利用の例、霧吹き)がある。正圧(押す圧力)は感覚として分かりやすい。しかし、負圧は分かり難いが、大きな流速の下では強大となる(ベルヌーイの定理)。
筆者は、弁護士・弁理士業務において、気体・流体の流動を扱う技術を数件扱い、興味深く思い、いつか書物として整理しようと思った。
一例としてエアサイクル住宅(夏冬の気流を自然に制御して室温を調整する)について、拙著『技術からの法律と経済・経営と社会のひとつの見方―包括的な技術論の試み―』(本書で、「拙著『技術からの法律と経済・経営と社会のひとつの見方』」として引用する)2022、経済産業調査会、P.35を参照いただきたい。