【前回記事を読む】寿司屋で出されたお吸い物に、異物混入…とろろ昆布に交じっていた“それ”を喉から引っ張り出すと…
瞳に一目ぼれ
瞳は一瞬、自分は何を言ってるんだろうと不思議に思った。
英介も驚くと同時に何故か瞳に一目惚れしている自分に気付いてしまった。
「ぐーーー」
いきなり瞳のお腹が鳴り出した。二人は顔を見合いニコニコ笑い出した。
英介は周りをキョロキョロ見て言った。
「ここで話しているのもあれですし、良ければ何か食べに行きませんか?」
「あ……はい……じゃあ」
瞳は恥ずかし気に照れながらも英介と一緒に晩ご飯を食べに行くこととなった。
空腹を満たすため英介は自分の会社の近くにある新橋のお好み焼きの美味しい店に行くことを提案した。
二人はお店に到着するとまず生ビールを注文し二人が今日の日に出会えたことへ感謝し乾杯した。その後、注文していた豚玉をアツアツと言いながらほおばった。
「そういえばきちんと自己紹介してなかったですね」
英介は自分よりはるかに若い瞳を前に髪をくしゃくしゃ触り照れながら言った。
英介は顔をひきしめると同時にビシッと背筋を伸ばし自己紹介を始めた。
「風間英介四十九歳、菱井ホールディングスに勤務の経営企画部で部長をしています。よろしくお願いします」
「えっ、四十九歳で部長さんなんですか?」
瞳はセミナーを担当していたので大手商社に勤務していたことは知っていたが、英介があまりにも童顔ということと部長であることにただただ驚いていた。
「そうなんですね。では次、私の番です!」
瞳は眩しいほどの笑顔で言った。
「早川瞳二十五歳、セミナー運営会社に勤務 しています。よろしくお願いします」
英介も満面の笑顔で聞いていたが周りを見渡して言った。
「早川さんには申し訳ないけど僕たちは不倫している人か親子にしか見えないんだろうね」
英介が苦笑いし申し訳なさそうに言うと、瞳は先ほどの笑顔とは正反対の真剣な眼差しで英介に言った。
「私、正直言ってあの大勢の場で女性に対し紳士的に格好良くすぐさま対応できる風間さんに非常に興味があります。
私、風間さんの半分位しか人生経験をしていませんが、こんなに胸が熱くなるほど人のことを思うこと、それも一日の中のたった数時間、あのハンカチを差し出してくれた瞬間から仕事中にもかかわらずあなたのことが頭から離れなかったんです。これはもしかしたら神様が私を導いてくれていることなんじゃないかと思ったんです」
空いているカウンター席にジュウェルと並んで座っているトムが自分を指さし言った。
「ちげーよ! 俺だよ! 俺!」
「トム! 今は静かに見守りながら彼女の言うことを聞こうよ。ねっ」
ジュウェルも真剣な眼差しで見守った。