「親子以上の縁」って何だろう?って考えながら……。

……山も、岳斗を歓迎し、山のピークを越えるとき、必ずアルポスの冷たい風が、岳斗の頬を打った。……

山を登り切ったという、やり遂げた感動も、僕の心に残っているが、

山のピークを、汗を流し、一歩一歩、あきらめず登りつめたとき、

冷たい風が、スーッと僕の頬を打つ……。 

登り切ったご褒美として、アルポスの山々が、僕にくれたんだ、と思った。

一生忘れられない心地よさだと思った。

父さんは山から下りると、いつもいっている。

「これで、ストレスフリーになった。心に何の疲労感もなくなったから、家族にやさしくしていこう。周りの人にもっと優しく接していこう」。

山は清涼剤みたいなもので、父さんにとっては、リフレッシュする場所なんだな……と思った。でも、それだけではないことが、あとでわかった。

それだけ、僕たちのために頑張って、仕事をしていることや、社会の中で生きることは、大変なのかなあ。

想像するしかないのか……。

すぐ近くに、アルポスがあるのだから、みんな山登りもして、リフレッシュして、生活すれば楽しいだろうなあ。

少なくとも、アルポスには、時空がずれている気配はないようだし、登る人たちには、心の時空のずれからも解放されて、ストレスフリーな人が多い。

“人が住む里”と、“動物や高山の花たちが自由を謳歌する山”との境目も、何か関係しているのかなあ……と、想像してみた。

§

……アルポスには、本音も建前もない。穏やかな高原には、平和の空気が漂っている。

……

……岳斗が、やがて大人になり、仕事や、人間関係などで悩み、困難なことを乗り越えようと、自分で立てた目標に向かって、光り輝く汗を流したとき、充実感を味わうだろう。

そのとき、アルポスの冷たい風が、岳斗の頬を打って、祝福してくれるだろう……。