第3章 ICFに基づく健康福祉の
個人の躰の構造・機能の障害・変調度の測定
第1節 ICFにおける健康福祉領域
WHOの健康憲章を意識して、もう一度確認のために、図2(第2章第1節)のICFの全体図である健康状態(障害または変調)を視てみましょう。
ICFは、人間の福祉の全体性を①福祉の健康領域と②福祉の他の領域(教育・雇用・環境・その他)にとらえて、アルファベットと数字の組み合わせによって1,500項目に分類し、幅広い分野の人びとが利用できる世界共通用語と実用的なシステムの測定用語を提供し、国際的に用いることになりました。
2001 年に成立したICFは、WHO加盟国に6項目の年次報告を課しました。しかし日本は、2000年に介護保険法が開始され、6課題項目の内5項目が入っていたため、後日、第一項目の『痛み』を第一項目に「痛み」として入れて報告しています。
しかし実は日本の0歳から39歳までは、WHOへの6課題報告に含まれていません。一人ひとりの健康度を測定するICFの1,500項目が、この年齢層には適用されていないのです。介護保険法が、40歳以上の条件つき対象者用であるためですが、そのような状態が特に問題視されていないのには他にも理由がいくつか考えられます。
まず日本は、国民全員が公的医療保険で保障されています。乳児から高齢者まで、保険証があれば、いつでも自由にどの医療機関でも公的保険を使った医療を受けられます。負担の少ない医療費で高度な医療が受けられる場合もあり、日本の医療保険制度は、国際的に高い評価を受けています。
また日本の教育システムには、誰でも一定の学力を身につける機会があり、集団行動や協調性を学べるカリキュラムもあることから、各国から注目されています。
つまり国際社会の中での日本のイメージは、「医療や教育のシステムが非常に充実した国」なのです。そのため日本の0歳から39歳までが、WHOへの6課題報告に含まれていないことは、特に問題視されていないのが現状です。
しかし、子どもが受けられる教育のレベルや健康管理は、親の経済力などによって大きな差があります。そして不登校やひきこもり、若年者の自殺も増加し、深刻な社会問題になっています。さらに「共助」や「公助」を受けずに育った子どもたちが親になれば、きちんとした子育てができず、負の連鎖が続くことになるでしょう。
これらは0歳から39歳までの健康状態がつかみにくいことで、医療や福祉の介入が遅れ、施策も後手後手に回っていることと深い関係があります。
ICFは、躰を持つ個人と社会の相互作用である視点に立って、「健康を構成する要素」を1,500項目に分類しています。例えば、これらの項目を調べますと、私個人も加齢による躰の機能低下を自覚することができますし、経済的自立が困難な健康状態である学生が大勢いることや、認知症が高齢の人ばかりではなく若い人にも多いことにも気づきます。
そしてICFは、「障害」とは、「人と物的環境及び社会的環境との間の相互関係の結果生じる多次元の現象」としています。まさに「No One’s Perfect」(乙武洋匡著『五体不満足』英文版)のICFです。
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