指さしの最初は、何かを取ろうとして手を伸ばすのですが、なかなかそのものに手が届かなくて、それを見ていたお母さんが手を伸ばし取ってくれるという体験の蓄積から、お母さんがいるときは指をさすだけでそのものが手に入るということを知るのです。そして、その延長が、言語の獲得です。
幼児は、指さしの後に言葉の獲得があります。指さしは、対象を特定する行為です。言語は、特定した対象に存在の意味を与えるツールです。
④身体の描き方の発達…<分化の法則(R. アルンハイム)>
人間の描き方は、最初、丸だけだったのが、やがて手や足、頭の毛が丸に付け加えられ、描かれるようになります。
アルンハイムは、これは付け加わるのではなく丸から手や足が<分化>するのである、と言っています。その次に胴が丸の身体から分化し、やがて首が分化するのです。これを<分化の法則(The Law of Differentiation)(3)>と言います。
知覚は、描画の場合全体(丸)から分化し部分の総合(人体表現)へ向かうのです。丸という全体から手や足、髪の毛が分化し、次に胴体、首へと分化が続いていくのです(図16)。
日本語の「分かる」は、「きっぱりと離れる。別々になる」、「事の筋道がはっきりする」、「理解できる」という意味です。
「分かれる」も、「混沌としたものがくっきりと区別できるようになる」、「明らかになる」、「同じところにいたものが別々になる」という意味を含んでいます。
このように、日本語の「分かる」「分かれる」は、「分化の法則」を大まかに説明しているように思われます。
(1)R.アルンハイム『美術と視覚-美と創造の心理学』波多野完治・関計夫訳、美術出版社、1971、p.220
Rudolf Arnhem(1954)“ ART AND VISUAL PERCEPTION; A Psychology of the Creative Eye” University of CALIFORNIA Press p.220
(2)チャン・デュク・タオ『言語と意識の起原』花崎皋平訳、岩波現代選書、1979 参照
(3)R.アルンハイム、同上、p. 225
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