【前回記事を読む】『令和の反社』の恐ろしい手口:新取引先に“話の通りやすい部署”が見つかったらアウト。名義と金の流れがジワジワ掌握され…

第2章 粛清

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「表向きは何も証拠が出てこないってことは、裏から見たらどうですかね」

「いい点に気づいたな。まずは単純に取引先を全部照会して存在を確かめたほうがいい。本社所在地がレンタルオフィスだったら間違いなくクロだ。実在していれば取引先が短い周期で入れ替わる、役員の承認者が代わる、価格改定のロジックが崩れる、契約期間だけ妙に短い――そういう動きが連続したら、金は別の道を通ってるってことだ。で、――どこまでやる? 柊」

「私は顧問の立場で会社を守らなければなりません。おそらく加納さんはどこが怪しいかある程度調べていると思います」保常は片眉を上げて笑った。

「じゃあ俺は神代ホールディングスを洗ってみるか」

「お願いします。それで、費用のことなんですが……」

「あとでまとめて請求するさ。とりあえずは手付で『剣菱』もらっちまったしな」

「……ありがとうございます」

頭を下げる柊に、保常はふと真顔に戻って告げた。

「念のために言っとくが、俺たちはもう現職じゃねえ。つまり桜の代紋は持ってねぇってことだ。ただの民間、なんの後ろ盾もねぇ一市民だ。何があっても守ってくれる盾はないぞ」

「承知してます。加納さんが守ろうとした会社、自分も顧問としての立場上、東雲を反社に渡すつもりもありません」

「上等だ」

不敵な笑みを浮かべる保常に、柊は力強く頷いてみせた。