『こいつら(犯罪者)は自分の罪を軽くするため、あるいは免れるため平気で嘘をつき、事実をねじ曲げ、あるいは隠そうとする。そんな奴らに、黒崎刑事のように真正面から向き合う必要などない』
と考えるようになっていた。こいつらを野放しにするわけにはいかない!思いは決意へと変わり、そして、いつしか俺は狡猾な悪魔へと自らを変えていった。
俺と黒崎刑事のやり取りを見ていた課長が、
「小林! 黒崎さんはこのままではお前が【監察室】扱いになる。そう言ってるんだ!」
黒崎刑事はじっと俺を見ている。課長は言葉を続ける。
「小林……お前は頭は悪くない。回転も速く要領もいい。だから黒崎さんはお前に目を掛けてきた。真っ当なやり方で結果を出せるはずだ……黒崎さんのようにな……」
課長は諭すように語りかけてきた。俺は黙ったまま聞いている。
「お話は以上でしょうか?」
俺はその場を離れたくて話を切り上げようとした。何より黒崎さんの俺を見る視線に耐えられなかった。課長はため息をつき、黒崎刑事と目を合わせた後、俺を向き話出した。
「小林。今手がけている仕事は?」
俺は軽く嫌な予感がした。
「今は特に何も……」
俺がそう答えると、課長は
「お前にやってもらいたい仕事がある。給料泥棒させるわけにはいかないのでな?」
嫌な予感が的中し、俺は心の中で舌打ちすると
「どのような仕事ですか?」
俺の問いかけに課長は話を続けた。
「あるアイドルのライブ会場の控室で死体を見たと女の子達が相談に来た。今、個別に話を聴いている最中だ。話を聞いている女性警官から詳細を聞いた後、現場に向かってほしい」
俺は
「分かりました。女性警官から話を聞いた後、現場に向かいます」
俺が退出しようとしたとき、黒崎刑事が俺の背中に話しかけてきた。
「小林! ……分かっているな?」
俺は振り向きもせず
「ええ。分かっていますよ」
そう答えると俺は部屋を出て行った。後に残された片倉に課長が一瞥を送ると、片倉は肯き俺の後に続いた。
次回更新は5月11日(月)、16時30分の予定です。
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