パーキンソン病の歴史
この200年間のパーキンソン病史上、マイルストンとなる出来事を短くご紹介いたします。
1817年、イギリスの外科医ジェームス・パーキンソン(James Parkinson)が、パーキンソン病の症状を呈した 6 症例につき「shaking palsy(振戦麻痺)」と題して報告しました(文献1)。
1888年、フランスの病理学者ジャン=マルタン・シャルコー(Jean-Martin Charcot)がこの振戦麻痺を再び評価し、パーキンソン病と名付けました(文献2)。 1912年、アメリカの神経学者フレデリック・ヘンリー・レビー(Frederic Henry Lewy)により、細胞内封入体が報告されました(文献3)。このレビー小体はパーキンソン病やレビー小体型認知症に特徴的に観察されます。
1957年、アルビッド・カールソン(Arvid Carlsson)博士が大脳基底核に神経伝達物質ドパミンを発見しました(文献4,5)。
2000年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
1959年、佐野勇教授のグループによって、パーキンソン病でドパミンが減少していることが報告されました(文献4,6)。1960年、オーストリアの生化学者オレー・ホルニキーヴィクツ(Oleh Hornykiewicz)博士もパーキンソン病が脳内のドパミン欠乏によるものであることを報告しました(文献4,7)。翌年にはドパミン前駆体のL-ドパが症状改善に寄与することを報告しました(文献4,8 )。
彼は1979年にウルフ賞を受賞しています。ノーベル賞を獲得できなかったことは、これにまつわる不思議の一つとされています。
1968年、ギリシャの科学者ジョージ・コンスタンティン・コツィアス(George Constantin Cotzias)博士がL-ドパによる治療法を確立しました(文献9)。
1979年および1983年には、パーキンソン病の病因に手がかりを与える重要な出来事がありました(文献10)。1979年、米国の化学専攻の学生が人工ヘロインを合成し自身に投与したところパーキンソン症候群を発症して、国立衛生研究所(NIH)の病院に入院したのです。
1 Parkinson J,An essay on the shaking palsy.1817.J Neuropsychiatry Clin Neurosci.2002:14(2):223-36;discussion 222.doi:10.1176/jnp.14.2.223.
2 Walusinski O,Jean-Martin Charcot and Parkinson's disease:Teaching and teaching materials.Rev Neurol(Paris).2018:174(7- 8):491505.doi:10.1016/j.neurol.2017.08.005.
3 Kuhlenbeck H,In memoriam Frederic H.Lewey [In memory of Frederic H. Lewey].Arch Psychiatr Nervenkr Z Gesamte Neurol Psychiatr.1951:186(1):i-ii. German.doi:10.1007/BF00696000.
4 柿本泰男、佐野輝「パーキンソン病患者脳におけるドーパミンの減少の発見の歴史」(パーキンソン病:診断と治療の進歩Ⅰ.歴史的背景3.) 日本内科学会雑誌 83:533-538 1994年
5 Carlsson A et al.,On the presence of 3-hydroxytyramine in brain.Science. 1958:127:471.
6 佐野勇「錐体外路系の生化学」 神経研究の進歩 5:42 1960年
7 Ehringer H,Hornykiewicz O,Ver teilung von Noradrenalin and Dopamin in Gehirndes Menschen and ihr verhalten bei Erkrankungen des extrapyramidalen Systems.Klin Wschr.1960:38:1236-1239.
8 Birkmayer W,Hornykiewicz O,The effect of L-3,4-dihydroxyphenylalanine (=L-DOPA)on akinesia in Parkinsonism,Wien Klin. Wochenschr.1960:38:1236-1239.
9 Cotzias GC, L-Dopa for Parkinsonism. N Engl J Med. 1968:278(11):630.doi:10.1056/nejm196803142781127.
10 https://mckakinoki.jp/archives/584 「ラングストン先生の発見」メディカルクリニック柿の木坂(閲覧日:2024/11/5)
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