5 貞さん、幼子に帰る
ボク、サダヲちゃんです
歳を取ると幼児に返るとよく言うが、貞さんを見ていると本当だなと思う。マイペースで、関心事は食べること。好きな時に寝て、好きな時に起きる。まさにこれって幼児ではないか。
それに食事をする時はエプロンだってするし、オムツだって、ちゃんとリハビリパンツをはいている。98歳貞さん、未来輝く前途洋々の幼子に負けていない。
動きも幼児同様ヨタヨタで、しゃべる言葉も面倒なのか単語が多く、あの乳酸菌飲料を「カウピス」と言い、あのカッコイイ、リチャード・ギアが出て、これぞおフランスという洗練されたおしゃれなCM、あのフランスの、あのオレンジ味の清涼飲料水も、貞さんにかかれば「あの黄色い水」ということになる。
最初「黄色い水」と言われた時は何のことか分からなかった。「黄色い水? 何? オレンジジュース? まさかあれのこと?」
『愛と青春の旅だち』という映画で、若き精悍な海軍士官に成長したザック・メイヨを演じたのがあの素敵なリチャード・ギアさま。ポップな映画音楽と共に、あの士官の制服がなんとも眩しかった。しばらく見ないと思っていたら、突然ロマンスグレーのナイスミドルになって、あのCMと共にお茶の間に戻ってきた。
そのさわやかな、おフランスの清涼飲料水=リチャードさまを「黄色い水」とは。
さすが幼児、見たそのまんまを口にする。
確かに「黄色い水」です。はい。
「カウピス」と「黄色い水」は貞さんのお気に入りで、夏になると「カウピス! 黄色い水!」と叫んでいる。その時々で冷蔵庫にある方をコップに入れて持っていってやると、「おいしいなぁー」と至福の時を得ている感じ。その言動がまさに幼子で「そうか、おいしい? 良かったね」ということになる。
色々あるけど、この幼子顔負けの素直さ、可愛さが、私にとっての一服の清涼剤ということになる。思わず笑ってしまって、大体のことが「まぁいいか」ってことになる。
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