第三節 感染対策
呼吸器感染
四人部屋は一床当たり8m2以上の面積を確保している。
気管切開者の口腔内液吸引は間欠的吸引と持続的カフ上部吸引器(AMORSU1)七台でおこなっている。
吸引が不十分な場合には各病棟に準備した吸引用気管支鏡による吸引を随時おこなっている。
口腔環境のケアは看護師が担当していたが、二〇一八年に歯科衛生士を各病棟に配置した。
その結果一年間の全入院患者さんの細菌性肺炎が51%、人工呼吸器関連は43%減少した。
一年間の統計であるが、歯科衛生士による口腔ケアは肺炎予防のエビデンスがある(図9)。
新型コロナ感染
わが国にとっては第一次世界大戦末期のスペイン風邪以来のパンデミック、百年以上昔のことである。
二〇〇九年の新型インフルエンザ流行時に対策総括会議が感染病床の増加、発熱外来、保健所強化、PCR検査の必要性を提言していたが被害が少なかったので忘れ去られていた。
当施設では発熱外来用にドームを設置し、二〇二〇年五月よりリモート面会をおこなっている。通常の面会と比べるスタッフが両者に付かなくてはならないため人数制限が必要で我慢してもらっている。
慢性期病棟なのでコロナ感染者の入院はない。患者さんが重篤になられた時は人数を絞って厳重な予防策のもとに面会していただいている。現在までクラスターの発生はない。ドームは二回目の水害で流されてしまった。
今回のパンデミックで、われわれは、三十年間研究されていたmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンを提供された。mRNAワクチンはタンパク質を体内で作らせるため、感染症だけでなく、がんのワクチン療法、免疫療法、酵素の遺伝子異常疾患の治療手段などに汎用されると考えられる。
素晴らしい研究で、カタリン・カリコー博士に世界中が感謝しなくてはならない。
一九八三年に生まれたPCR検査は、コロナ前は需要も限られ大規模検査室でおこなわれていたが急激な需要の高まりによる技術開発で小型の迅速検査装置が世界中で使用されるようになった。
今後のパンデミック予見ツールとして大いに役立つと考えられる。この二つは今回のパンデミックの功といえる。