俳句・短歌 短歌 自由律 2020.10.03 句集「曼珠沙華」より三句 句集 曼珠沙華 【第10回】 中津 篤明 「冬花火 亡び 行くもの 美しく」 儚く妖しくきらめく生と死、その刹那を自由律で詠う。 みずみずしさと退廃をあわせ持つ、自由律で生み出される188句。 86歳の著者が人生の集大成として編んだ渾身の俳句集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 致死量と なる幻聴や 冬 放浪 夕日の呪文 ひと魂 ひとつ 草に憑き さらさら 蛙 さらさら 回向発願心
エッセイ 『逆境のトリセツ[パラリンピック特集]』 【新連載】 谷口 正典,益村 泉月珠 右足を切断するしか、命をつなぐ方法はない。「代われるものなら母さんの足をあげたい」息子は、右足の切断を自ら決意した。 失うのは生命か右足か究極の選択まだ寒さが残る三月。午前二時。ピンポーン。「こんな時間に誰?」上着を羽織りながら玄関を開けた。そこに立っていたのは、背筋を伸ばした警察官だった。「正典さんのご家族の方ですか」「正典の母です。どうかしたんですか?」「正典さんが、国道二号線でトラックとの事故に遭いまして……」「え……、正典は無事ですか?」「現在、病院に搬送中です」動転した母は、兄と一緒に俺が運ばれた病院…
小説 『逆境』 【第4回】 NIKO.F 出所したばかりの俺に「妊娠したかも…」と泣く彼女。まだ17歳だが、駆け落ちしてでも働いて育てる覚悟を決めた。だが… 【前回の記事を読む】出所メシは、ケンタッキーと決めていた。大きなパーティーBOXを注文し、母の新車でむしゃぶりつき、一気食い。紗香は涙もろく、直ぐに泣く性格だった。勝也は笑顔で紗香を抱きしめた。紗香は、お母さんが出所祝いにご飯を作ってくれているからと、勝也を家に招いてくれた。紗香の家庭は在日韓国人。おばちゃんは料理が上手で、テーブルには韓国料理などご馳走だらけ。勝也は動けなくなるまで食べ続けた。…