俳句・短歌 短歌 自由律 2020.09.26 句集「曼珠沙華」より三句 句集 曼珠沙華 【第9回】 中津 篤明 「冬花火 亡び 行くもの 美しく」 儚く妖しくきらめく生と死、その刹那を自由律で詠う。 みずみずしさと退廃をあわせ持つ、自由律で生み出される188句。 86歳の著者が人生の集大成として編んだ渾身の俳句集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 石路の花 わが 肺葉は 地に…… リンリンと 銭を投ぐ 石 凍ててゆく 鎌の刃の 露に ぬれしは 懺悔かな
エッセイ 『ボクは、笑顔でできている ~多くの人に支えられて、白血病と闘うことができました~[注目連載ピックアップ]』 【第2回】 向井 健一郎 「病名は急性リンパ性白血病です」"急性リンパ性白血病"は約10万人に1人の確率で発症する。なぜ私が、と妻と二人で泣いた。 翌日の朝に、もう一度血液検査とエコー検査などを行いました。消化器内科の医師からは、「肝臓や脾臓は少し腫れているが、これが痛みの原因とは考えにくいです。最初のCTスキャンの画像を見ると、リンパ腺がいくつか腫れているところが見られたので、午後からは血液内科で診てもらいましょう」という話がなされました。私は「血液内科」とは初めて聞く名前だったので、これは何の病気だろうと思っていました。午後、病室が血液…
小説 『不倫の何がいけないの?[人気連載ピックアップ]』 【第26回】 安本丹 友人の演奏はどうでもいい。クラシックコンサートという優雅で気品のある場所でロマンチックな時間を過ごすことができれば…… 【前回の記事を読む】バドミントンサークルで男友達に彼の惚気話をした私。それが不倫であるとも知らずに――ジョイナスから帰ると時刻は二十三時を過ぎていた。帰宅ラッシュもとうに過ぎ道は空いていたものの、やはり帰るのに一時間半はかかる。運転の緊張感から解放されて心地よい眠気に襲われた私は、メークを落とすと真っ先に寝室へ向かった。旦那はもう寝ていた。ふと携帯が鳴る。〈あのさ、すごくみゆちゃんに電話してみた…