まえがき

「臨床心理士」は数多く存在する心理系資格の中でも抜群に知名度が高く、また高度な専門性を目指してきた資格です。

ただ最初にお伝えしたいのは「臨床心理士」は民間資格であり、心理支援における本邦唯一の国家資格「公認心理師」とは当然ながら違う資格だということです。

本書では、私が心理系公務員として臨床心理士の方々と接しながら、言わば第三者として得てきた知識と経験から、心理職の国家資格化をめぐる歴史を振り返ります。

そのことが国民の皆さまに生じている、心理職資格をめぐる混乱を解き、カウンセラー(心理支援者)選びに役立つとともに、次世代の心理職の方々に未来へのヒントを得ていただくことに繋がるのではと考えています。

私は、皆さまがカウンセラー(心理支援者)選びをするうえで、「臨床心理士」資格の有無を考慮する必要はないと考えます。

臨床心理士の実像は必ずしも知られておらず、本書においてお示ししていきます。

カウンセラー(心理支援者)を求められる方の間に、心理職資格をめぐる不安が生じていること、また次世代の心理職を目指す方々が、「公認心理師」だけではなく、「臨床心理士」を取らざるを得ない状況となっていることを深く憂います。