岡本先生へ――
高い、なよやかな東洋の樹木や鬱蒼たる潅木や、金色や深紅色(しんこうしょく)やの小鳥の群れや、ゆりで縁(ふち)を囲まれた湖や、菫(すみれ)、鬱金香(うこんこう)、 風信子(ヒ アシンス)、月下香(げっかこう)等が生い茂った草原や、銀色の小川の長い入り乱れた線が、夢のようにもつれ合って目に映る。
そして雑然としたこれらの事物の中に、 半ばゴシック風で、 半ばサラセン風の大きな建物がそびえ立って、奇跡のように中央にとまっている。
エドガー・アラン・ポー『アルンハイムの地所』
(春秋社刊「エドガー・アラン・ポー全集」谷崎精二訳)