第五章
[どう?遥香に会えた?]
早川からのメッセージで僕は目を覚ました。少しうたた寝をしていたようだ。
前園さんと喧嘩をしてから三日目の日曜日。明日のゼミでは笑って挨拶ができるようにしたい。そう思いながら、僕はノートに書き連ねた疑問に対して、延々と自問自答するだけの生活を送っていた。
[まだ会えてない。でも、また会いに行ってみようと思うよ]
早川に返信をしてからスマートフォンの画面を見つめる。メッセージのトップには早川。それからアルバイト先の店長とのメッセージが続いて、前園さんはさらにその二つ下にいた。
あの喧嘩以来、彼女からのメッセージはない。もともと、僕からすることもなかったので、自然と下の方に回ってしまった。
でも、最近、なんだかとても静かだ。友達が多くない僕だからより一層そのように感じるのだろうか。早く話したい。
そこまで思って、はっとした。僕は今前園さんを求めているのだと。
僕の好き人はもちろん遥香一人だ。だから、恋とかそういうものではない、別の感情だ。
なんだろう。名前をつけることのできない不思議な感情だ。自分から遠ざかったのではなく、人と喧嘩をしたせいで一人になってしまった。人と密に距離を縮めようとして一人になってしまった。自分から求めていないのに、できあがった独りという状態に、僕は異様な焦燥感を抱いている。
今になってと、自分でも思うが、本当に今になって気づく。
僕には遥香や前園さんが必要なのだと。そういう人に囲まれる僕でありたい。人から目を背けずに、僕もちゃんと人と会話をしたい。
面倒事に巻き込まれないために一人を望んだ。けれども、それは僕の真の本心ではないのだ。
僕は人と会話をするのが好きだ。サッカーをするのが好きだ。誰かと心を通わせることが好きで、大切な時間だったのだ。全部自分から奪って、自分から遠ざけた。
そう思うと、いてもたってもいられない。とにかく早く、まずは前園さんに会って自分の気持ちを伝えなければならない。気味悪がられてもいい。嫌われてもいい。
それでも、僕は前園さんと一緒にいられる時間を手に入れるために、なにか行動したい。
気づくと、家を飛び出して走っていた。
次回更新は4月28日(火)、11時の予定です。
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