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風呂敷包の男も笑いながらバスの後ろにやってきた。

「新任の先生さまでしたか。わたしのせがれも延子ちゃんと同じ四年生でして。遊んでばかりいるので、どうか勉強するように厳しく鍛えてやってください。申し遅れましたがわたしは寺門(てらかど)と申しまして、せがれの名前は晃(あきら)です。

わたしの家は小学校からすぐのところにある鍛冶屋です。農機具の修繕ばかりでなく金物の修理もしているので、先生の包丁が切れなくなったら研いで差し上げますので云ってください」

なんと答えたら良いのかわからず、青山はただ「はあ」と云うだけであった。新人教師が包丁を使うような生活をするのを当然のことと男は思っているようだ。

話を聞いていた丸顔の車掌が笑顔で近づいてきて、「どちらまでですか」と訊くので、「小学校前まで」と云って八十円を手渡して切符を受け取った。

「あけみちゃん、車掌が板についてきたね。この前までバスが発車するたびによろけていた人とは思えないよ」

 

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