彼女の家までのドライブ。アメリカに来て驚くのは車のスピードである。メーターが70 を指している。時速70キロにしてはずいぶん速いなと思っていると実は70マイルなのだから実際は110キロ近い。他に車もいないし、道も広めだ。大陸に住むドライバーの心理は狭い島国とは違って荒っぽい。アメリカでも有数の穀倉地帯の道を彼女の車はぶっ飛ばして走る。

それにしても、道中で目につくのは道路上のそこここに転がる野生動物の死骸で、明らかに車に轢かれたものである。これはさすがに日本では田舎でもそうは目にしない光景である。イタチのような小動物、鳥、ちょっと大きめの鹿のような動物がほとんど原型を留めない哀れな姿を晒している。

こんな風景に慣れない自分は、目のやり場に困ってしまう。野生の動物が多いということなのか、車のスピードが速過ぎるのか、これだけ動物愛護を叫び、捕鯨に関してもあれ程声高に日本やノルウェーを非難するアメリカ人なのに。ちょっと腑に落ちないものを感じる。

小一時間も走っただろうか、車は「ニューライム」という村に入った。数年間の彼女との文通で慣れ親しんだ地名だ。

手紙の中だけにしか存在して居なかった彼女にこうして会い、封筒の上だけにしか存在しなかったこの村の名前や住所がまた現実になった。本当に魔法のような感覚で、数日前に初めてアメリカ大陸を見たときに覚えた「地理は正しかった」という無邪気な感動、感覚をここで再び感じる。

農地を抜けると家が点在する区域に入った。道をちょっと外れるとそこに一軒家がありそこが彼女の家である。白塗りの木の壁に薄茶色の窓、大きな応接間の部分は薄茶のレンガ造り、横には濃茶のレンガの煙突がニョキッと突き出ている。

本当にアメリカの家は大きくて羨ましい。屋根から天井裏のような三角形の小さな屋根と窓が突き出ているのも映画で見たアメリカの家の通りである。家の前方ははるかずっと小麦の畑や森が地平線まで続いている。

 

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