肌寒かった季節から、日差しに暖かさを増した学校がお休みの日、Lisaと二人で近くの教会へ出掛けた。
裏手に穏やかな川が流れ緑に囲まれた、この古い歴史ある大聖堂には、いつもたくさんの人が来ている。
僕らはその大聖堂の芝生の広場で腰を下ろし、祖母が作ってくれたサンドイッチを頬張った。芝生と木々の緑に囲まれとても気持ちが良い。
Lisaと二人でいられるのが嬉しかったけれど、いつも何を話して良いのか分からない。僕はただハニカムだけ。
そんなとき、Lisaは必ず僕に悪戯を仕掛けてくる。
「Datの作ってくれたサンドイッチは美味しいね。Marlonのサンドイッチのほうが美味しそう。一口食べさせて」
「OK。それじゃお口を開けて」
サンドイッチを食べさせてあげようと口まで持っていくと、Lisaは大きく口を開け僕の手首を掴み、ガブッ! 僕の手を噛んだ!
「Lisa! 僕の手はサンドイッチじゃないよ~!」
「ごめんなさい、Marlon」
笑いながら両手を合わせ首をすくめるLisa。とっても不思議なポーズ。
「今のポーズは何なの?」
「Marlonは神様にお祈りするとき、こうやって両手を組むでしょ。日本は仏教の国だから、手をこうやって合わせるの。謝るときにもこうするのよ。だからMarlonに悪戯をした私を許してくださいって謝ったの」
僕も真似てみた。なんだかとても不思議な気持ちになり、遠い国の人になったような気分だ。
Lisaが周りをキョロキョロと見回している。そしてフレアスカートに付いた草を両手でポンポン、と払いながら立ち上がり、遠くを指さして言った。
「Marlon、あそこに大砲があるでしょ。あの大砲を中心に10フィートの円を描いた内側で私を捕まえたら、今日の私のクッキーを3枚あげるわ」
小走りに大砲へ向かっていくLisaを僕は走って追いかける。僕から見えないように大砲の後ろへ身を隠すように座り込んだLisa。
「いい、Marlonは大砲の前から私を追いかけて。私は後ろのほうから逃げるわよ!」
大砲の前と後ろ、二手に分かれて、Ready go! 僕らの笑い声が教会の広場に響く。
追いつこうとすると逃げるLisa。僕を振り向き、
「Marlon、こっちよ、こっち」
そう言って僕から逃げてゆく。白い半袖のブラウスに、薄い水色のフレアスカートをフワフワとなびかせ、笑顔を浮かべてあっちへこっちへ、右へ左へと自由に走り回るLisa。
天使になって空へ舞い上がり、僕の前から姿を消してしまいそうなLisa。
僕は息を切らしながら追いかけた。
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